冬のコタンの締めくくり

郷右近 富貴子

 

 


今日2月28日は、アイヌ文化保存会の納会でした。阿寒のシーズンも落ち着いた年明け頃から、週に一度、コタンに住む子供と大人のアイヌ舞踊の練習と、歌、手仕事をする活動です。

納会の今日は、お昼からコタンの叔母さんたちが集まって、アイヌ料理やらオードブルやら今年は、キビのトノト(お酒)や稗のトノトを作り、伝統的な酒漉しの踊りと共に、ワイワイと 楽しく学びながら、皆で作りました。

夕方5時頃、コタン奥のアイヌシアターイコロにて、子供達の今年の踊りの成果を発表。

普段は、ふざけたり照れたりと、真剣さにかける子供達も、この時ばかりは、きちんとアイヌ衣装を着て、立派なステージでの真剣な表情。

ただ、踊りに来ている子供達は、コタンの全員ではなく…
思春期を迎え、アイヌの行事から遠ざかって、距離を置く子も…。

それでも、こうしてアイヌ衣装を着て、真剣に一生懸命踊り、フチ達に喜ばれ、踊った後にはコタンの叔母さん達の手作りアイヌ料理を食べて、共に皆と過ごす時…

思春期と共に、アイヌの行事から遠ざかってしまうのは、誰もが通る道だけど、いつかきっと大人になった時のふとした瞬間に振り返った時、かけがえのない温かな時間だった事に、気がついてくれる事を願っています。

なぜなら、私が心から大切にしたいと、今改めて思っているから…

 

 


郷右近 富貴子/ごううこん ふきこ

 

幼少よりアイヌ舞踊などを習いつつ阿寒湖アイヌコタンで育つ。3児の母。アイヌ料理屋ポロンノを家族で経営しつつ、阿寒観光汽船「アイヌ文化ギャラリー船」にて、アイヌ語り部として、ムックリやトンコリなどを演奏し、アイヌ文化を紹介している。姉・床絵美と’Kapiw&Apappo’というユニットで音楽活動を行っている。民芸喫茶ポロンノホームページ