ー夢の子ども

桑原 真知子

 

 

 

野良猫が、30匹を越えました。10年近く避妊を続けてますが、何処から沸いてくるのかと思うくらいに、次から次へと猫が訪れ。捨て猫をわざわざ「可哀想なけえ、こうてやってくれえや」と連れて来られる方あり、お借りしたトラップに唐揚げを入れて、捕まえた子ありで、大きさも種類も様々な子達が、家の中から溢れんばかりにいます。

去勢をしたら外に放そうとしてましたが、「地域猫」として、地域のみんなが猫にご飯を上げて、お世話をして下さる所ではないのが分かって、全員家の中に入れました。

悲しいことに広島は、犬猫の殺処分が、全国一だそうです。保健所のゲージに入ってる犬の写真を撮っている方の個展を観ましたが、辛いものでした。

平和記念公園で暮らしていた鳩も、数が増えすぎたと平和の使者としての任務を解かれて、随分前から間引かれてます。追い出された鳩が、他の公園や人が集う場所に餌を求めて集まります。

いつだったか広島駅のプラットホームで姉と電車を待ってると、一羽の鳩が舞い降りて来て、首を前後にリズミカルに動かしながら、人の足の間を縫うように進み、食べ物を探してました。『鳩に餌を与えてはいけない』という条例の元に、痩せていました。

宮島の鹿や弥山の猿は、数を減らす為に捕獲されて、何処かに連れて行かれたそうです。

 

人間という単一の種の生命ばかりを優先し、世界の擬人化が進んでいます。そのうち猫も、動物園か夢の中でしか、見かけなくなる日が来るかも知れません。

 

 

     『大好き』

 

       カリカリとカツオの缶詰め大好き

       耳の後ろとあごの下クシュクシュしてもらうの大好き

       ソファーの背もたれでバリバリ爪研ぎするの大好き

       ヤモリみたいなお腹を出して引っくり返るの大好き

 

       日向ぼっこ大好き

 

 

猫は何かを目的として何かの為に生きてる訳ではなくて、ただ生命として『生きる時は、生きるばかりよ』と生きてます。それこそ仏様の教えのようです。


 

 

桑原 真知子/くわはら まちこ

広島県生、空見人。多摩美術大学絵画科油画課卒業。広島大学文学部考古学科研究生修了。草戸千軒町遺跡にて、遺物の漆椀の図柄の模写や土器の復元を行う。シナジェティクス研究所にてCG担当とモジュール作成などを経て、現在は魂を宙に通わせながら作家活動を行っている。