東京自由大学会員 

リレーエッセイ 第二回

---------------------------------------------------------------------------------------

 
 

「天災から学ぶ」 

海野 和三郎

 

 

 

原田一さんであったか、忘れたが荻(西荻?)の自由大学会援に行ったのは、20年近く前のことであった。たしか、そこで入会したようながする。横尾彦先生が、ドイツで横尾画の公演の大活で、自由大学学長務めが理となった、そのピンチヒッタに私が推されて、未だにピンチヒッタで居るのが在の私である。上田と小の中の海野に住み、平家物を琵琶法承した法然の弟子が先祖という真不明の伝説があるが、私もそれにって真不明の宇宙作するのを趣味としている。自由大学の本は、二理事が万事采配をっているので心配ない。コロキウムと称して、他の人のやらない研究を、趣味の一致した皆さんと一にワイワイやっている。今やっていることの一つは、フェルマ定理の中学生明で、数学者が300年かかってやっと明したことをごく簡単明する。初めは、怪しげな明であったが、ワイワイやっているうちに、今では完成と云ってもよい程度に成ってきている。他には、大木健一郎君を相棒として、太陽熱発電装置の原理的研究をやっているが、これでエネルギ源を充足させて50年後の世界争を予防するのが狙いである。知症日しにひどく、どうなることやら。妄言多

 

シベリアに100年ぶりの大隕石の落下がった。あれから何年になるであろうか。10倍100倍大きな大隕石が百年千年後にやって来ない補償はない。恐竜絶滅の因となったといわれるアリゾナ隕石の落下は何万年か前であったという。今度やって来たら、遠方で積んだ原子力装置の噴射で一寸軌道を変えて、地球と衝突しないようにするとよい。地球を守るのが人類の務めである。東日本大震災の原因となったのは、千年に一度の大地震であったという。死者行方不明者の大部分は、津波による被害であったが、人々の注目は故障した原発による放射能事故に集中した観がある。天災に伴う人災への対処のみを問題にし、天災からは何も学ぼうとしないのは問題である。地震が何故起こるかその原因を考え、それによって対策を考え、将来世代にその知識を継承していく必要がある。その知識が有れば、地球の南北の対称性から、その少し前に起こった南半球チリやニュージーランドの大地震から東日本大地震の警報を出すこともできたであろう。約千年ごとの大地震の原因は、粘性流体マグマが地熱を運ぶ対流熱伝導の地球自転と結合による渦巻き対流(竜巻)が運ぶ回転角運動量が原因であると考える。竜巻の中心部は幾分高温低密度の上昇流で、周囲の深部高温のマグマを吸い込んで上昇対流するが、渦巻きとなるのは地球自転速度が低緯度で速く高緯度で遅いためで、マグマ竜巻が高緯度へ北上(南半球では南へ移動)するにつれての中心軸付近の対流熱伝達は一層加速し、それに伴う回転角運動量は増大する。マグマ竜巻が日本列島の地殻に衝突して消滅すると、その回転角運動量は富士山を中心として日本列島を北方へ折り曲げるストレスとなる。そのストレスの解消が東日本大地震発生であろう。同様の現象は大気中でも起こり、南方洋上の高温熱帯性低気圧は北上するにつれて、竜巻対流熱運搬効率を増大させて台風となる。台風一過で気象は激変するが、消滅すると回転角運動量は保存量なので、少なくも一部は地面に残る。それが百年千年蓄積されるとやはり地震の原因となる。何年か前に新潟大地震があったのは、台風の直後であった。

 

マグマ竜巻は、北半球同様南半球でも起こる。竜巻の巻き方は南北で逆になるであろう。日本列島が東を北に折れ曲がっているが、オーストラリアの東西両端が南へ湾曲しているのももしかしたらそのためであろうか。前述したように、東日本大地震の直前に、チリやニュージーランドの大地震があった。南北の対称性から考えて、それが天与の予告と考えて東日本大地震を警戒すべきであったと後悔される。この考えが真実であるか否かは、今後の研究に待つ他ないが、こうした研究の開発こそが「天災から学ぶ」所以であろう。原発全廃論は、エネルギー不足による世界戦争の可能性が内蔵されている。それとは逆に、簡易集光による太陽熱発電の具体化の推進が、もう一つの「天災から学ぶ」行為として推奨される。

 

 

次回は原田憲一先生、岡野恵美子さんのお二方の予定です。

 

 

海野和三郎/うんのわさぶろう

1925年埼玉県生。 理論天体物理学者。東京大学名誉教授。

東京大学理学部天文学科卒業。専門は理論天体物理学。師は萩原雄祐。1952年から東京大学付属東京天文台助教授、1963年より東京大学理学部教授。退官後、近畿大学理学部教授。量子力学を天文学に取り入れた研究では先駆的存在。多くの理論天文学者を育成したことで知られ、門下生は「海野スクール」と呼ばれ日本の理論天文学に大きな業績を残している。退官後、環境問題および教育問題を同源のものとして先事館先事研究所を設立。有識メンバーと連携し教育改革に関する提言活動を行っている。NPO法人東京自由大学学長。

著書に『天文・地文・人文』(東京書籍)、『星と銀河の世界』『されど天文は変わらず・上諏訪日誌』、『Nonradial Oscillations of Stars』(東大出版)他、高等学校教科書監修『地学I・II・III』(東京書籍)ホームページ/http://homepage2.nifty.com/jiyudaigaku/unnno.htm