INORI

渡村 マイ

 

 

 

2013.11.21 富士山・静岡

 

ダライ・ラマ14世が来日し、

霊峰・富士を正面にのぞみ

 

世界の平和を祈る祭典が行われました。

 

 

神道・キリスト教・イスラム教・修験道・日本仏教・チベット仏教による、

 

それぞれの宗教形式での祈りが捧げられ

 

すべての宗教に共通した願いである「平和」への祈りの場となりました。

 

 

約1万7000年前に「新富士火山」と呼ばれる、現在の富士山の原型ができて以来、

 

長い年月の中で噴火を繰り返し、今の富士山の形となった富士山。

 

 

富士山のふもとに広がる青木ヶ原樹海。

 

100350年もの歳月をかけて地表に湧き出る豊富な湧水。

 

季節ごとに彩られる富士山。人々の信仰心。芸術表現。

 

日本を代表する信仰の山。

 

 

そして、いまの時代、現在の日本の大地を支える要となる山

 

 

日本の中心に位置し、調和を表現しているその佇まいは

 

晴天の空に清々しく、

 

遠くにあるようで、共に在るようにも感じられました。

 

 

 

 

2004.6.21夏至

 

 

この富士山の麓で開催された World Peace Prayer Day では、

 

世界中から先住民族の長老が集まり

 

世界の平和を祈るピースウォークと

 

雨の中での、長時間にわたる祈りが捧げられました。

 

 

クピック族のストーリーテラーが伝えていたこと

 

「祈りとは日々のはたらきであること」

 

「あなたがたが“目覚めて戻ってくる”のを待ち続けている女性がいるということ」

 

 

広場では、平和を願う、フープダンスを全身で表現しながら踊る少年。

 

ティピの中で地球環境について話す、木を植え続ける人。

 

たくさんの人が集った9年前のあの日も、

 

「平和」と「調和」の祈りが捧げられ、

 

翌日には雲の輪をかけた美しい富士山が現れました。

 

 

 

 

2011.3.11 東日本大震災

 

 

オーストラリアの先住民女性たちからの声明が日本に届けられました。

 

「私たちの大地が、あなたたちの大地を傷つけてしまった。ごめんなさい。」

 

 

オーストラリアで採掘されたウラニウムの多くは日本に輸出され原発に使用されています。

 

一方で、採掘地となっているオーストラリアでも

 

大手の採掘会社の貪欲な採掘と無責任な対応により

 

地元の先住民族の聖地は破壊され、毒され

 

もたらされた金の争いは部族内関係を悪化させています。

 

 

そして、今回の事故が起こりました。

 

 

自分たちの苦しみを越えて、届けられたこの声明文に

 

衝撃と共に、日本人としての情けない気持ちが湧き上がり、

 

そして同時に、大きな愛を感じました。

 

 

 

また、チベットでは、東日本大震災の直後、

 

ダライ・ラマ法王が、チベット僧侶と共に

 

犠牲となった方々のために10万回の般若心経を唱え続けていたそうです。

 

 

 

人間の意識が自然界に影響を与えるならば、

 

誰もが持つ祈りの力で、平和と調和は実現することができるかもしれません。

 

祈りが現実になるなら、

 

平和と調和の祈りを受け止める富士山はその体現者。

 

 

祈りは実践であり、日々のはたらきであり、言葉。

 

 

ダライ・ラマの言う、「真実の祈り」のように

 

真実の力によって

 

捧げられた真実の祈りが

 

  障りなく

 

現実のものとなりますように。

 

 

 

 

渡村 マイ/とむら まい

静岡県藤枝市在住。琉球大学で八重山芸能研究会で活動を行う一方、沖縄映像文化研究所の活動に関わる。立教大学院文学研究科比較文明学専攻にて、アメリカ先住民の文化を学んだ後、故郷である静岡県藤枝市に帰郷。ドキュメンタリー映画上映会などの活動を開始。2009年より地元観光協会に在籍、地域を紹介する「たびいく」冊子を取材・編集。地域素材の魅力発信、地域人に出会う「ローカルツーリズム」を提唱。2012年トヨタカローラコレカラパーソン静岡代表。現在、NPO SACLABOを立ち上げ地域をフィールドに地域活動を展開中。