自然の法則と暮らす

高橋あい

 

 

 

私の住んでいる町の夏は、芝生が乾涸びて茶色になるくらいの炎天下になると聞いていた。案の定、夏休みに入ると、学生も先生も逃げるように母国や避暑地へと去って行き、町はとても静かになった。ところが、今年の夏の気象は炎天下にならなかった。町は静かで、且つ涼しかった。丁度立秋が過ぎたころから、肌寒くなり、窓から見える木々の葉は、風とともに舞い始めている。日本から届くメールには、「怖いくらいの暑さが連日続き」と綴られている。東京のビルの脇道に蜃気楼が立っている光景を想像する。今時、打ち水をする人がいるかどうかわからないが、きっとアスファルトの下の大地は時に打ち水を求めている、そんな気がした。しかし、自然は何も言わず、おそらく自然の法則にのって暑くなったり寒くなったりしているだけだ。もし、人間が異常気象と感じる気候があるとしたら、我々が異常生活をしてきたこととの因果関係もあるのだろうか。やはり、私たちは一度立ち止まり、原初に立ち戻る必要があるのだろう。

 

 

自然は立派やね。自然の法則をまねて、人間が暮らす。

時が来たならば、ちゃんと花が咲き、

そして黙って、褒められても褒めらんでも、

すべきことをして黙って去って行く。

 

そういうのが実行であり、教えであり、真理だ

 

*曹洞宗大本山永平寺第78世貫首 宮崎奕保老師

youtube 映像テキストDVD永平寺「104歳の禅師」

 

 

 

西川隆範先生を偲ぶ会

 

二〇一三年七月十七日、西川隆範先生がご逝去されました。一昨年より心臓に病をえながら、最期までルドルフ・シュタイナーの思想を研究、翻訳され、多くの人々に伝え、それによって悩める人を励まし、導いて下さいました。東京自由大学では設立以来、講座で、またはゼミで、西川先生によるシュタイナーの著作の講読を続けて参りました。西川先生の導きで読んできたシュタイナーの著作は七冊に及び、世界の童話・昔話の霊学的、イメージ的解釈を「メルヘン論」として講じていただきました。また、現代霊性学講座シンポジウムで、二人の仏教者と共に西川先生の仏教に対する思いや見解を語っていただきました。それは地湧社発行の『仏教は世界を救うか~仏法僧の過去・現在・未来を問う』として出版されています。

霊界に赴かれた西川隆範先生を偲ぶ会を左記の通り催すことといたしました。東京自由大学には、西川先生が若く、意欲に燃えてシュタイナーを研究し始めたころからの関係者がおられますし、シュタイナーゼミに参加された多くの方々がいらっしゃいます。西川先生の思い出、業績、お人柄を語りあい、霊界にいらっしゃる西川先生に感謝を送りとどけます。御参加をお待ちいたします。

日時・九月二十九日 日曜日 午後2時より5時まで

会場・NPO法人東京自由大学 千代田区神田紺屋町5 TMビル2階

会費・千円 茶菓を用意いたします。余が出た場合ご遺族にお花料としてお渡しします。

ご参加を希望される方は東京自由大学まで、必ず申し込みをお願いいたします。

電話・FAX 03・3253・9870

メール jiyudaigaku@nifty.com

 

 

 

火を焚きなさいアートフェスティバル

東京自由大学恒例講座となっている「三省祭り」は今年も行われます。

 

 

・・・おお朋だちよ いっしょに正しい力をあわせ われらのすべての田園とわれらのすべての生活を一つの巨きな第四次元の芸術に創りあげようではないか・・・・・・詞は詩であり 動作は舞踊 音は天楽 四方はかがやく風画・・・・・・・なべての悩みをたきぎと燃やし なべての心を心とせよ 風とゆききし 雲からエネルギーをとれ・・・ (宮澤賢治「農民芸術概論」より)

 

・・・火を焚きなさい

人間の原初の火を焚きなさい やがてお前達が大きくなって 虚栄の市へと出かけて行き 必要なものと 必要でないものの見分けがつかなくなり 自分の価値を見失ってしまった時 きっとお前達は 思い出すだろう すっぽりと夜につつまれて オレンジ色の神秘の炎を見つめた日々のことを・・・(山尾三省「火を焚きなさい」より)

 

設立以来「真の学問的探究と芸術的創造」を求めてきた東京自由大学は、山尾三省と宮澤賢治の願いと祈りを受けて、「火を焚きなさいアートフェスティバル」を行うことになりました。東京自由大学に関わる皆さんが、魂の火を燃やして創造されている様々なアート表現を、松明を持ち寄るように持ち寄り、集い、ひととき大きな炎として、いのちの光と熱を発信しましょう。

 

日程:1025日(金)~27日(日)

○アート作品展示
○パフォーマンス 1800  2030 参加費1000
25日(金) 第一夜 オープニング

大重潤一郎監督「能勢~能勢ナイキ反対住民連絡会議」上映

開会宣言:海野学長×鎌田理事長のトーク(宣言)+会員のパフォーマンス

26日(土) 第二夜 朗読「アングリマーラ」田口ランディ+鎌田東二(音楽)+会員のパフォーマンス

27日(日) 第三夜 ポエトリーリーディング+ミニコンサート+パフォーマンス

 

 

 

第三号発行する頃には暑さが弱まり、過ごしやすい日々になっていることを願っています。秋の気配と共に、火を焚く季節となります。秋の撓わな実りを祈り、来る冬には多くの神々を訪れがありますように。

 

 

 

高橋 あい/たかはし あい

東京自由大学ユースメンバー。写真家。多摩美術大学情報デザイン学科卒業。東京芸術大学修士課程修了。沖縄大学地域研究所特別所員。ポーラ美術振興財団の助成を受け、2012年9月から1年間、アメリカ合衆国・インディアナ大学にて写真作品制作と研究を執行中。東京自由大学では、主に「大重潤一郎監督連続上映会」の企画を行っている。また、このウェブマガジンの発案者である。ホームページ