春の音連れ

高橋 あい

 

 

 

このウェブマガジンをはじめて、約一年が経ちました。隔月に発行していますが、二ヶ月はあっという間に過ぎてしまいます。個人的には季節の備忘録のように書いておりますが、執筆者の方々には、貴重なお時間を充てて頂き感謝しております。この場をお借りして御礼申し上げます。

 

 

今年二月は、関東甲信越に大雪が降りました。私は知人の病院通いで長野におりました。飯田線も特急あずさも運休となり、中央道の通行止めが相次ぎ、東京に帰る手段はなくなりました。スーパーマーケットでは肉野菜類が高騰し、ガソリンスタンドも制限販売となりました。日本は、狭いながらも如何に物流システムに頼っている社会なのだということを、こういう機会に改めて感じます。長野では、近所の人が声を掛け合って、不便なところを助け合っていました。声をかけて頂く、そのことがとても有り難いものでした。地物で生きるという生活に各地がなれば、自然を崇拝し、有り難さを感じながら生きることが出来るのだと思いながら、東京での生活も悔い改めざるを得ません。

 

三寒四温、雪と春の雨と春霞を繰り返しながら、春の訪れを感じます。屋根に積もり固まっていた雪が、先日の雨で「どすん、どすん、」とまるで雷のような音を立て幾度も落ちました。まさに春の来る音のように感じました。このウェブマガジンに投稿して下さっている桑原さんから、「桜の木は幹から色づいていくと聞いたことがあります」と、手紙で頂いたことがありました。春は花ばかりではありません。私たちの生命も、地球も、木々も、表面からではなく中心から芽生えているのでしょう。二月頭に倒れた友人も、春の生命力と共に回復するのだと、その命を見つめています。

とはいえ、季節の変わり目は、生体に負担がかかる時期でもあります。みなさま、どうぞ養生の上、お過ごし下さいませ。

 

 

タオの自然の想像力は
深くて、遠くまで
ゆきわたっている。だから
私たちはもう一度、
この大きな道(タオ)の深い働きに従ってみることだ。
そうすれば、君はいつか
大きな調和の途(みち)へ向かうだろう。

(第65章より)

 

「老子新訳」加島祥造/地湧社/2013より

 

 

 

来る三月十五日に、鳥山敏子先生を偲ぶ会を、東京自由大学にて行います。

「追悼 鳥山敏子先生〜映像で偲ぶ鳥山敏子の教育の理想と実践」と題し、3つの映像をお届けします。また、鳥山敏子先生の弟分である鎌田理事長より、姉から受け継いだ精神について語ります。鳥山先生のお名前を今まで知らなかった方も、是非、この機会にお越し下さいませ。

 

追悼・鳥山敏子先生 

映像で偲ぶ鳥山敏子の教育の理想と実践


10:30~12:30 映画「先生はほほーっと宙を舞った」
        「宮沢賢治の教え子たち」より
         1991年作品/112分/
         制作:鳥山敏子・小泉修吉
12:30~14:00 お昼休憩(会場内・※バザー)
14:00~14:40 「鳥山敏子さんを偲ぶ会」司会・鎌田東二
         映像上映 「鳥山敏子の生涯」
         提供:東京賢治シュタイナー学校   
14:40~16:40 映像自由大学講座記録(2011.11.19.)
        「21世紀世界地図―今、教育を問う!
         ~シュタイナーと宮沢賢治の精神と教育実践」
16:40〜17:00 総括話し合いと閉会の言葉・鎌田東二

 

 

また、来年度に向け、カリキュラムを整えている毎日でございます。今年度から立ち上げました「震災解読辞典」は来年度も続きます。新しい講座として「現代霊性学講座 第4弾 戦争と霊性」は、後期から始まります。東京自由大学公式ホームページに、決まった講座から掲載しておりますので、是非、ご覧下さいませ。

 

 

 

高橋 あい/たかはし あい

東京自由大学ユースメンバー。写真家。多摩美術大学情報デザイン学科卒業。東京芸術大学修士課程修了。沖縄大学地域研究所特別所員。ポーラ美術振興財団の助成を受け、2012年9月から1年間、アメリカ合衆国・インディアナ大学にて写真作品制作と研究を行い、2013年10月に帰国。東京自由大学では、主に「大重潤一郎監督連続上映会」の企画を行っている。また、このウェブマガジンの発案者である。ホームページ